市民ランナーの謎

アメリカでは、多くの国民が心臓病で亡くなった1960年代前半、時の大統領・ケネディが、国民の健康を維持・促進するために「体力に関する大統領審議会」を発足させました。医学、生理学、運動学などの学者がそれぞれの専門的知識を結集して、提言を行いました。その提言の柱が「有酸素運動」でした。酸素を十分取り入れて行う持久的な運動であるウォーキング、ジョギングが、市民の間で流行するきっかけとなったのです。日本では、2007年の東京マラソンをきっかけに、若い市民ランナーが急増しました。インターネットや雑誌が、その流行を誘導したのは言うまでもありません。ランニング・ウエア、ランニング・シューズには機能性だけでなく、ファッション性も高まり、それまでランニング・シーンに付きまとっていた「スポ根」「汗臭さ」「野暮ったさ」というマイナスのイメージが払拭されるようになりました。

 

そして、2008年の春、日本では「特定健診・特定保健指導」が始まりました。運動習慣の獲得までを支援する、この国家的取り組みの後押しを受けながら、スポーツメーカーでは新商品の開発に躍起になっています。医学データでは、肥満は食べ過ぎによるものでなく、むしろ運動不足にその原因があると指摘しています。1939年の臨床実験ですでに証明されており、350人の肥満者を対象に行った研究で、肥満者の67・5%のケースが運動不足にその原因があったと報告しています。その後の数多くの研究でも、運動不足が肥満をもたらす最も重大な原因であるとするエビデンスが再現され、広く支持されるようになりました。ですから、習慣的で、かつ適度な運動の継続は、肥満予防のためには不可欠といえます。